昨今Sierは多数出現しているが、Salesforceに特化している老舗Sierのテラスカイについて分析してみた。株価ちょっと高い気がするが、一旦企業分析をまとめる。
クラウド技術の普及とDX需要の高まりを背景に、システムインテグレータとして長年の実績を持つテラスカイは、従来の導入支援から自社ツール開発や資本業務提携まで、事業を拡張中である。変化期におけるポジション取りが今、投資家視点で問われている。
この記事の100文字まとめ
クラウド導入支援を基盤とし自社プロダクト開発やNTTデータとの提携も推進。成長余地と競争リスクが交錯する中で、総合評価は慎重だが期待は大きい。
事業概要と基盤
- 設立2006年、東京都中央区日本橋に拠点を構え、クラウドとシステム連携技術を軸に事業展開。
- 主力事業はクラウドインテグレーション(顧客への提案型営業、設計・構築・運用支援)および自社製品事業(クラウド特化型サービスの企画・提供)
- Salesforce導入実績が豊富で、AppExchange プラットフォーム上での評価・認定資格保有者も高水準
- 2024年4月には NTTデータと資本業務提携を締結し、Salesforce事業の共同展開・拡大を目指す動きを加速させている テラスカイ
- 西日本拠点の増床・移転による地域展開強化も進めており、地方市場の取り込みを狙う動きが顕著 プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
財務と業績
- 売上高は近年増加傾向。2024年2月期は191億3,700万円に達し、前年比で上昇基調にある。
- 利益率やキャッシュフローの公表データは限定的だが、自社プロダクトとのシナジーと提携効果による収益拡大余地は評価できる
- 財務基盤については、資本業務提携などの資金連携も視野に入れつつ、過度なレバレッジを避ける姿勢がうかがえる
- グループ会社である “テラスカイ・テクノロジーズ” では、AWS専門の人材派遣事業を新設。2026年度には人員100名体制、売上10億円を目指す構想がある テラスカイ・テクノロジーズ
投資視点での評価(強み/リスク)
- 強み:
・Salesforce導入での豊富な実績と認証技術者の蓄積
・自社プロダクト(SkyVisualEditor など)の展開により、単なる受託モデルから上流寄り収益への転換可能性
・NTTデータとの提携によるブランド強化/販路拡大 - リスク:
・クラウド・IT業界の競合激化(大手ベンダーや海外勢の台頭)
・提携先・取引先への依存リスク(特定プラットフォームや技術に依存しすぎる構造リスク)
・新事業(人材派遣、AWS支援等)の収益性確保までの時間とコスト
今後の展望
- 提携を通じた共同事業拡大が鍵。特に NTTデータとの協働で地方市場や大手案件を共同獲得できる環境構築を目指す
- 自社ツール製品の改良と拡販に注力し、“導入支援+プロダクト型”の複業モデルを確立できれば収益構造が強化される
- 地方拠点の増強で、地方企業のDXニーズを取り込む戦略は有効。西日本強化の動きがこれを象徴している
購入判断:是?非?
総合的に見て、現時点では慎重な見方が妥当。この事業ポテンシャルと競争リスクを勘案すると、成長期待はあるものの、安定性と利益成長が一体となるまでは様子見と判断することが妥当といえる。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
主力事業 | クラウド導入支援・システム連携 |
成長軸 | 自社クラウドプロダクト・提携事業拡大 |
財務 | 売上基盤は拡大基調、収益性強化余地あり |
投資観点 | 潜在力は大きいがリスクも大きく、中長期視点が必要 |
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