今日は、私のポートフォリオの中でも今、最も扱いが難しい**クラフトハインツ(KHC)**について、緊急で分析記事を書きたいと思います。
今日の日付は2026年2月9日。
そう、運命のQ4決算発表(2月11日)まであと2日です。
現在の株価は23ドル台。PERはまさかの8倍台。そして何より、我々配当投資家を魅了してやまない**配当利回り約6.8%**という数字。
「これだけ安くて高配当なら、迷わず買いでしょ?」
「バフェット銘柄だし、永久保有でいいじゃない」
そう思って買いボタンに指をかけているあなた。ちょっと待ってください。
今のクラフトハインツは、単なる「割安」ではありません。「会社分割(スピンオフ)」と「経営陣交代」という、企業のDNAを書き換える手術の真っ最中です。
今回は、長期・配当狙いの投資家として、この局面をどう判断すべきか、感情を排して論理的に深掘りします。
なぜここまで売り込まれたのか?「安さ」の正体
まず、数字という「現実」を直視しましょう。
• 株価: $23.76(直近5年の最安値圏)
• バリュエーション: PER 8.5倍(S&P500平均の半分以下)
• 配当利回り: 6.8%(減配リスクを織り込むレベルの高さ)
市場がここまで株価を叩き売っているのには、明確な理由があります。それは**「インフレ便乗値上げの限界」**です。
2024年から2025年にかけて、KHCは原材料費の高騰を理由に価格転嫁を行いました。しかし、その結果何が起きたか?
消費者は「さすがに高すぎる」と財布の紐を締め、ウォルマートなどの安価なプライベートブランド(PB)へ逃避してしまいました。
売上金額は維持できても、肝心の**「販売数量(ボリューム)」はずっとマイナス**です。食品メーカーにとって、商品が売れる個数が減るというのは、ブランド力が死にかけていることを意味します。これが、PER 8倍という「不人気株」の正体です。
会社分割(スピンオフ)は「吉」か「凶」か?
さらに事態を複雑にしているのが、昨年から報じられている会社分割計画です。
KHCは、成長率の高い「ソース・調味料部門(グローバル展開)」と、成熟した「北米食品部門(チーズ・肉)」に会社を分けようとしています。
長期投資家にとって、これは諸刃の剣です。
期待できる点:
成長部門が切り出されることで、その部分の株価評価が見直され、株価上昇(キャピタルゲイン)が期待できること。
警戒すべき点(これが重要):
「配当の適正化」という名のリセット(減配)が行われるリスクが高いこと。
過去、AT&Tやワーナー、あるいはケロッグ(現ケラノバ)の分割事例を見ても、スピンオフのタイミングで「新会社の成長投資のために」配当性向が見直されるケースが多々あります。
現在の6.8%という異常な利回りが、分割後も「合計受取配当額」として維持される保証はどこにもありません。むしろ、成長投資のためにキャッシュを温存したい経営陣にとって、今の高配当は「足かせ」でしかないのです。
新CEOのスティーブ・キャヒレイン氏は、かつてケロッグを分割し、スナック部門(ケラノバ)を高値で売却した実績を持つ「株主価値最大化」のプロです。しかし、彼のミッションは「株価を上げること」であり、必ずしも「高配当を維持すること」ではない点に注意が必要です。
「バフェットの売り」という最大のリスク
もう一つ、無視できないのが大株主バークシャー・ハサウェイの動向です。
これまでバフェットが保有していることは「安心材料」でした。しかし、今は「最大のリスク要因(オーバーハング)」に変わっています。
もしバークシャーが「もうこのビジネスモデルには未来がない」と判断し、売却を開始すれば、需給バランスは崩壊します。株価は一時的に10ドル台後半まで叩き売られる可能性すらあります。
長期投資家としては「安く買えるチャンス」に見えますが、落ちてくるナイフを今つかむ必要はありません。
私の結論:今は「待ち」が正解
以上の要素を総合し、2026年2月9日時点での私の結論を出します。
投資判断:HOLD(保有継続) / 新規買いは「待ち」
なぜ「売り」ではないのか?
すでにPER 8倍台まで売り込まれており、悪材料の大半(減配リスク含む)は株価に織り込まれている可能性が高いからです。ここで売ると、まさに「大底売り」になるリスクがあります。
なぜ今「買い」ではないのか?
2日後の決算がギャンブルすぎるからです。
2月11日の決算発表で、会社分割の詳細と同時に「配当方針の変更(減配)」が発表されるリスクがあります。もし減配が発表されれば、高配当目当ての個人投資家がパニック売りを起こし、株価はもう一段下がります。
配当狙いの投資において、最も避けるべきは「減配」です。現在の6.8%が「見せかけの利回り」かどうか、あと2日待てば答え合わせができるのです。今リスクを取ってエントリーする期待値に対して、リスクが大きすぎます。
2月11日、決算発表後のアクションプラン
では、具体的にどう動くべきか。私ならこうします。
1. 決算発表までは何もしない(静観)。
2. 決算発表後のチェックポイント:
• **「2026年の年間配当額」**が明示されたか?維持されたか?
• **「会社分割」**の具体的なスケジュールと、分割後の配当方針についての言及。
• 新CEOが**「ボリューム(販売数量)回復」**のためにどんな具体策(単なる値下げ以外の付加価値戦略)を語ったか。
3. 買い出動の条件:
• 「配当維持」が宣言された場合 → 即座に買い。悪材料出尽くしで株価は急騰するでしょうが、それでも長期では安い水準です。
• 「減配」が発表された場合 → 株価が暴落し、底を打つのを確認してから検討。新しい利回りが4%程度でも、成長性が見込める価格ならエントリー。
💡 NotebookLMを活用した「決算分析」のすすめ
最後に、今回のKHCのように「経営者の発言のニュアンス」や「複雑な分割スキーム」が鍵を握る場合におすすめの方法を紹介します。
私は今回の決算分析で、GoogleのNotebookLMを活用する予定です。もし皆さんもKHCを保有している、あるいは狙っているなら、ぜひ試してみてください。
【手順】
1. 2月11日に公開される「決算短信(PDF)」と「決算説明会(Earnings Call)の書き起こしテキスト」をNotebookLMにアップロードする。
2. 以下の質問を投げてみる。
「新CEOの発言を分析し、彼が『配当維持』と『成長投資』のどちらを優先しようとしているか推測してください」
「会社分割に関して、既存株主にとって不利になる可能性のあるリスク要因(負債の配分など)が言及されていないか抽出してください」
これをやるだけで、アナリストレポート並みの深掘りが数分で可能です。特に「行間を読む」作業において、今のAIは非常に優秀なパートナーになります。
最後に
クラフトハインツは、今まさに「正念場」です。
「腐っても鯛(クラフト)」なのか、それとも「沈みゆく巨艦」なのか。
長期投資家として、2日後の審判の時を冷静に見極めましょう。
決して、目の前の高配当という「餌」だけに飛びつかないように。
それでは、また決算後の記事でお会いしましょう。
(※本記事は個人の分析であり、投資の成果を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。)

